2015年から相続税の税制改正により、基礎控除額が大幅に引き下げられました。これまでは相続と無縁と思われていた一般世帯にも、相続税課税対象となる可能性が高まっています。
その相続税対策も影響しているためか、分譲・賃貸マンションや賃貸アパートの建設が相次いでいます。
直近の都心エリアでの動きや変化と、賃貸物件マーケットの動向についてお知らせします。
都心に人口回帰の動き
2015年に国勢調査が行われ、過去5年間の人口推移と世帯動向が明らかになりました。
その結果を見ると、日本総人口は94.7万人減少しており、前回の調査から人口が減少した市町村は1416にも上ります(全体の8割程度)。
反面、東京都、千葉、埼玉、神奈川県では5年前と比較して50.8万人もの人口が増加しています。その動きが特に顕著だったのが東京都特別区部、政令指定都市と周辺市町村だったことが分かっています。
東京23区内の人口推移
東京圏内では、前回国勢調査と比較して人口が増加した市区町村が122となっています。なかでも東京都千代田区の増加率23.8%や、港区の18.7%、中央区14.9%、台東区12.8%という数字は、明らかな都心集中人口回帰の動きを表しています。
東京の世帯数増加
東京圏内の平均世帯数が増加した市区町村は222で81.9%、単身や夫婦二人の小規模世帯が増加した市区町村が101となっています。世帯数が増加した地域では人口も増加率が高く、やはり千代田区(1位30.5%)、港区(3位18.4%)、台東区、中央区、江東区で世帯数が10%以上増加しています。
新築マンションの供給分布
東京都内のマンション系空室率は2016年6月時点で前月比マイナス0.15ポイント、前年同月比マイナス0.89ポイントとなっています。いずれも人口増加にともなったマンション不足の傾向が表れています。
マンションやアパートは駅に近い、都心へのアクセスが良いことが賃貸条件として大きな要素となりますが、マンション新築アパートと比較して、特に中心部での分布が顕著で、この分布は人口増加エリアと重なります。最寄り駅から10分以内の場所の物件が多く含まれていることから、マンションは都心の好立地を重視して展開が進んでいることが分かります。
アパートの着工は、相続対策に焦りを感じたためか多少のマイナス条件に目を伏せた感があり、駅から10分以上の立地での展開が目立ちます。人口減少エリアに重複しているアパートも多くあります。
人口増にともなったエリアでニーズに基づいた小規模世帯用マンションの展開、これが、都心部でマンション経営を成功させるポイントでしょう。
出典;みずほ信託銀行 不動産マーケットレポートhttp://www.tmri.co.jp/report_market/pdf/market_report1609.pdf
株式会社タス 賃貸住宅市場レポート