個人投資として人気の高いFX(外国為替証拠金)取引ですが、レバレッジがかけられる分、取引の額も大きくなるため、儲けた話も破産した話もよく耳にされるのではないでしょうか。
他と同じようにFXも利益が出れば確定申告の必要がありますが、実は「他の所得と損益通算ができない」制度になっています。
FXにかかる税金の仕組み
2011年まで、投資商品としては異例の累進課税が適用されていたFXですが、2012年の法改正により、他の投資金融商品と同様の20%の税率が適用されるようになりました。
以前は最大で50%の税率がかけられ、不利な扱いを受けていましたが、これを機に市民権を得て、多くの方が投資対象として選択するようになったと思われます。
しかし、FXの利益の区分は雑所得です。先述したとおり給与所得や事業所得など、他の所得と損益通算することができません。利益が出たら出た分、一律20%課税されるのです。
たとえば、株取引で100万円の損失、FXで100万円の利益を出した場合、100万円の利益に対して課税されることになります(商品先物取引、日経225や別会社のFX取引との内部通算はできます)。
マンション経営など不動産所得なら多額が経費に
同じ個人投資の観点から見ると、マンション経営に代表される不動産所得は、所得税法の定めで他の所得と損益通算することが認められています。この制度が節税に大きな効果を発揮し、年収700万円、扶養家族3人のケースでは、約20万円の節税になるという試算があるほどです。
ローンを利用すれば少額から始められるワンルームのマンション経営であっても、第三者に貸しているだけで物件に関わる経費を計上できるため、損益通算で確定申告をすれば、所得税の還付と住民税の軽減が可能なのです。
不動産事業については、減価償却費、支払利息、管理費、固定資産税、修繕費など多くが経費にあたるケースがほとんどです。マンションをローンで購入したとしても、家賃収入と損益通算の節税額でローン返済額がまかなえる計算が立ち、元金は着実に返済できます。
レバレッジの効果によって、大きくリターンが得られる可能性のあるFX取引ですが、それには破産しかねないほどのハイリスクも伴います。一方、マンション経営は利幅こそFX取引ほどではありませんが、老後までを考えた将来の資産形成には堅実な投資といえるのではないでしょうか。