リーマンショック以後下落を続けていた東京の不動産価格は、2013年から2014年あたりで上昇に転じました。不動産価格は様々な要因が絡み合って変動するのですが、ここではマンション市場を中心に価格の推移と今後の動向について考えてみたいと思います。
マンション価格の推移
リーマンショック後に下落したマンション価格についても新築、中古ともに概ね2013年前後で価格上昇に転じています。政権交代による経済政策への期待感、日本銀行の量的・質的金融緩和、いわゆる異次元緩和による資金供給量の拡大が金融機関の貸出意欲を刺激し、REITや私募ファンドなどによる不動産取得の動きが再び活発になりました。これにより不動産市場は再び流動性を取り戻し、価格の上昇が始まることになりましたが、サラリーマンを中心とする個人の間でも不動産投資熱が高まりを見せてきました。2013年9月には国際オリンピック委員会総会にて、2020年の開催都市が東京に決定し、世界的な注目を集め、外資の流入などにより東京の不動産価格の上昇に拍車を掛けました。
また、2012年12月には1ドル80円台であった為替も2014年12月には120円台となるなど急激な円安ドル高の動きをした時期でもあり、これにより建設資材、燃料など輸入品の調達価格と、東日本大震災の復興関連により建設業での職人の人手不足が慢性化したうえにオリンピック関連施設の建設も重なることとなり人件費の上昇が起こりました。この結果、マンションなどの建設費が急激に上昇をし、マンション価格の上昇の大きな要因となりました。
中古マンションについても、新築マンション同様に価格が上昇しています。中古マンションであれば、建築資材価格や人件費は関係ないのですが、新築マンションの急激な価格上昇から、新築物件の購入を断念した実需層による購入と中古マンションの利回りに魅力を感じたサラリーマン投資家などが中心となって不動産投資物件として積極的に購入を始めたことが価格上昇の大きな要因になったと考えられます。
今後の不動産価格の動向
今後の不動産価格については、景気の動向にも大きく左右されるとは思いますが、東京都心部のマンション価格については大きく崩れることはないと見込まれます。外資の動きも影響はしますが、オリンピック開催も控えていることから、もう一段の不動産価格上昇も十分にありえます。マンションの賃料は価格のような上昇をしていないため今後の上昇期待もあることから、インカムゲインを重視している不動産投資市場におけるマンション売買価格は今後も堅調に推移する可能性が高いと思われます。