不動産所得の赤字による損益通算で住民税が軽減

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マンション経営を行った結果、不動産所得が赤字となった場合、損益通算によって所得税が還付されるという話はよく聞かれることと思います。実は住民税の負担も同様に軽減されるのです。これはどのような仕組みで軽減されるのでしょうか。

 

住民税の課税方法

サラリーマンの場合、所得税は会社等が税額を計算し、給与から源泉徴収して役所に納税します。確定申告が必要な場合には、その申告によって所得と納税額が決定します。

住民税はサラリーマンであれば源泉徴収され、確定申告のような制度もありません。住民税はどのように計算が行われているのでしょうか。

住民税は賦課課税方式といって、住民税の計算の基礎資料としてサラリーマンであれば給与所得者の源泉徴収票が、確定申告を行った者であれば当該申告内容が役所に通知され、この資料に基づき役所が税額を計算し、賦課を行っています。

役所で計算された住民税額は、サラリーマンであれば会社へ通知書が送られてくるので給与から源泉徴収を行い、個人事業主であれば、役所から直接各個人へ住民税の決定通知書、納付書が送られることとなります。

損益通算による住民税の軽減

マンション経営による不動産所得では、家賃収入がそのまま課税対象になる訳ではありません。家賃収入から必要経費を控除することができます。家賃収入から必要経費を控除した結果、不動産所得が赤字になった場合には確定申告の損益通算によって、赤字に対応する納税相当額が還付されてきます。

住民税の計算では、確定申告の内容が役所に通知されることから、役所は確定申告書に記載された所得金額の合計を確認し、当該金額を基礎として住民税の計算を行います。この所得金額は損益通算後の金額であるため、不動産所得が赤字の場合には当該赤字金額が控除されており、この結果住民税は軽減されることになるのです。

所得税は還付で住民税は軽減

サラリーマンがマンション経営を行った結果赤字となって損益通算した場合、所得税は還付されるというのに対して、住民税が軽減というのは何故でしょうか。これは所得税と住民税の徴収方法の違いが理由となります。

サラリーマンは年末調整で、給与所得に基づく所得税の納税が完了します。その後、他の所得との損益通算などを確定申告によって行い、最終的な所得が確定します。この最終的な所得によって所得税が再計算されるため、既に支払っている所得税が多ければ還付され、少なければ追加で納税をすることになります。

住民税は全ての所得が確定した後に計算が行われ課税されます。したがってサラリーマンが源泉徴収される住民税額は、損益通算後の所得が前提となっているのです。このため住民税の場合は還付ではなく軽減ということになります。

サラリーマンがマンション経営を行って確定申告をした場合には、それが反映された住民税となっているかどうかを給与明細で確認するようにしましょう。