訪日外国人観光客数が2011年から2016年で約4倍に増加し2,400万人を突破しています。今後、東京オリンピックの開催を控えて観光客数は更なる増加が見込まれています。このような状況で不足する宿泊施設への対応策として「民泊」の利用推進を図る計画を立てています。この「民泊」はマンション経営にとってどのような影響があるのでしょうか。
民泊とは何か
「民泊」とは、もともとは一般の民家に泊まることを指す言葉でした。日本では有料の宿泊施設の経営を行うためには旅館業法に基づく営業許可が必要なため、現行法の下で行われていた民泊のほとんどは違法なものと言わざるを得ない状況でした。
しかし、観光客数の増加などから宿泊施設の不足という問題を解決したい日本政府としても、この民泊を利用して問題の解決を図りたいと考えています。このため従来の旅館業法の改正に合わせて民泊を合法化すべく、新たな民泊といった営業形態に関する法律の制定に動いています。この法律は『民泊新法』と呼ばれ、現在は法整備が行われているという状況です。
民泊による近隣への影響
民泊が新たなビジネスモデルとなるかは、現時点では不透明です。民泊として営業できる日数に制限がおかれる可能性もあります。この日数によっては、そもそも専業で民泊をビジネスとすることは難しいといえるでしょう。しかし、投資という観点からではなく、たまたま空いている部屋を提供するとか、空いているマンションを短期的に民泊として提供するということは、今後の新法の整備により従来よりも行い易くなる可能性は高いといえます。
民泊によって日本に訪れる方をもてなしたいという方や、子供たちの独立によって空き部屋が多くなってしまった家の有効活用などに、メリットなどを感じる方もいらっしゃることと思います。しかし、その一方では文化の違いによるトラブルなどによって、近隣の方と軋轢が生まれることもあります。マンションのセキュリティの高さに魅力を感じる人にとっては、隣室などで民泊が行われることは迷惑行為と思うかもしれません。
民泊がマンション経営に与える影響
生活スタイルや文化の違いから、ゴミ出しや夜中の騒音などでトラブルが起こることを懸念して、一部のマンションでは管理規約によって民泊の利用禁止を定める組合も出てきていると言います。確かに居住しているマンション内に一時的な利用者が入れ替わりで出入りすることは、あまり気分の良いものではないでしょう。そして、これは結局のところ家賃や稼働率の下落方向へのリスクとなります。
今後、物件の購入検討に際しては、同一マンション内で民泊が行えるのかどうかを確認する必要が出てくることでしょう。管理規約なども十分に確認し、民泊のリスクも十分に踏まえた上で検討してください。