不動産所得の赤字は住民税にも反映されるのか?

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マンション経営で不動産所得が赤字になったとき、給与所得があれば確定申告によって損益通算をすることで、すでに納付した所得税の還付が受けられ税が軽減される効果が得られる、というメリットを耳にすることも多いかと思います。では、住民税についてはどうなのでしょうか。

 

住民税とはどのような税か

毎年1月1日に住民票登録がある地方公共団体から、全ての納税義務者に一律に定額で課税する均等割による住民税と、前年の所得に基づく所得割による住民税が課税されます。

均等割りによる住民税は自治体によって額が異なることがありますが、概ね4~5千円の課税が行われます。所得割による税額は課税主体である自治体によって税率は多少異なることがありますが概ね10%の税率であり、納税義務者の課税所得に税率を乗じて得た金額となります。したがって所得割の税率は一定ですが、課税所得が大きくなるほど税額が大きくなります。

住民税の多寡は課税所得によって決まると言って良いでしょう。

課税所得の決まり方

給与所得があるサラリーマンであれば、確定申告のかわりに勤めている会社で年末調整を行うことと思います。この年末調整で所得控除に該当する生命保険料控除や配偶者控除などの申請を行い、課税所得が計算されます。この計算によって既に仮徴収されていた所得税の精算が行われ、過不足があれば徴収や還付が行われることになります。

不動産所得や事業所得などがあれば、確定申告を行って課税所得を計算し、この申告によって所得税の課税額が決まります。

これらは所得税のために計算をしているものであり、住民税のためのものではありません。実は年末調整や確定申告によって計算された所得が税務署から地方公共団体の税務課などに通知され、通知を受けた地方公共団体が改めて住民税の課税所得を算出し、税額を決定しているのです。このため特段の申請をしなくても住民税は課税されることになります。

不動産所得が赤字の場合

不動産所得が赤字になった場合、マンション経営を行っている給与所得者は確定申告で不動産所得の赤字を給与所得から控除する損益通算を行うことによって、課税所得を減額することができます。これにより年末調整で精算し、既に納付済となった所得税から不動産所得の赤字に対する税額分の還付を受けることができるのです。

住民税も同様に、損益通算前後の所得の情報が住民税の課税主体に通知されますので、不動産所得の赤字分に対する住民税が軽減されることになります。

住民税は前年の所得に基づいて計算された税額が6月頃から徴収されることになります。このため還付という方法ではないことから分かりにくくなっていますが、所得税と異なって不動産所得の赤字は徴収される税額に直接反映されているのです。