不動産投資を行っていて給与所得のある方は、不動産所得が20万円以下で他に所得が無い場合には、基本的に確定申告を行う必要はありません。確定申告不要であるにも関わらず確定申告してしまうと、納める必要の無かった所得税が課税されることになります。しかし、不動産所得が赤字である場合には、確定申告をすることで損益通算による減税のメリットを享受できます。
確定申告が不要なケース
不動産所得を得ていても確定申告が不要なケースがあります。1カ所から給与の支払いを受けて年末調整を行っているサラリーマン投資家の場合で、給与の年間収入金額が2,000万円以下であり、給与所得と退職所得以外の所得の金額が20万円以下であれば、基本的に確定申告が不要となります。
確定申告不要の具体例
例えば不動産所得が18万円の場合で、他に給与所得と退職所得以外の所得が無いサラリーマンの場合は確定申告をする必要がありません。もし、確定申告をすると所得税率が20%であれば、3万6千円の所得税が追加で課税されることになります。また、雑所得が3万円ある場合には合計所得が21万円となりますので、このようなケースでは確定申告が必要となります。なお、20万円以下で不要になるのは所得税確定のための確定申告であり、地方税については別途申告が必要になるので注意しましょう。
不動産所得が赤字になった場合には、20万円以下なので同様に確定申告をする必要はありません。しかし、不動産所得が赤字のときは、損益通算によって年末調整によって納税が完了した所得税から赤字に対応する所得税額の還付を受けることが出来ますので、確定申告を必ず行うようにしましょう。
損益通算による減税
給与所得のある者にとって不動産所得の赤字による損益通算の効果は、不動産所得の赤字相当額が確定申告によって給与所得から控除されることにあります。このため既に納税済の給与所得の所得税から赤字相当額に対応する所得税額の還付を受けることができるのです。
収益不動産を取得して間もない時点では、減価償却費という実際の支出を伴わない経費を計上することができます。この減価償却費の計上によって、不動産所得が赤字となる場合でも現実の収支は黒字となり、帳簿上の赤字は損益通算によって所得税の還付が受けられます。減価償却費による赤字だけでなく高額修繕費の発生による赤字であっても、確定申告を行うことで少しでも税金の還付を受けて赤字の補填をしましょう。
不動産所得が赤字になったら、税制におけるメリットを確実に享受することを強くお勧めします。