平成27年に相続税の計算方法に大きな改正があったのをご存知でしょうか。特に基礎控除の改正によって、従来の制度であれば相続税の課税対象にならなかった人が、改正後には課税対象となることが多くなり、相続税の申告をしなければならなくなる人が増えると言われています。
相続税の基礎控除
相続税は、相続財産の評価額が基礎控除の金額を上回った場合に課税されます。したがって基礎控除の金額が大きければ大きいほど相続税が課税される可能性は小さくなるのですが、平成27年の改正では基礎控除の金額が従来の60%になるという大幅な減額が行われました。具体的には基礎控除の金額が「5000万円+1000万円×法定相続人の数」だったのが、「3000万円+600万円×法定相続人の数」というように改正されました。
相続財産の評価額が、基礎控除の金額を上回ると相続税の課税対象となることから、今後は資産の種類によって評価方法が異なることを考慮に入れて、相続税対策をしていく必要性が高まることになります。
資産の種類によって異なる評価方法
主だった資産の種類による評価方法を、簡単に記載すると次のようになります。
- 預貯金
現金は金額がそのまま評価額となります。預貯金については、相続が発生した時点で解約した時の残高と利子の合計額が評価額となります。
- 上場株式
上場株式など、市場が開かれた日の株価がわかるものについては、次の4つの方法で求めた金額のうち最も低い金額が評価額となります。
- 被相続人の死亡の日(課税時期)の最終価格
- 課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
- 課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
- 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額
- 投資信託
相続人の死亡日に解約・売却した時の金額が評価額となります。
マンションの相続税評価
以上のように主だった資産は時価での金額になるものが多いようですが、マンションの相続税の評価額は時価よりも相当安くなります。マンションの土地部分を路線価方式で評価すると、概ね時価の7~8割程度となります。マンションの建物の相続税の評価額は固定資産税評価額と同額で、これも時価より相当安くなっています。更にマンション経営で賃貸している場合には、借地権割合や借家権割合などによって更に評価額は下がっていくことになります。小規模宅地等の特例が適用されると一段と評価額は下がります。
このようにマンション経営に供している不動産は、いざという時に相続財産となった場合に時価よりも評価額が大幅に下がりますので、相続税対策に向いた資産だといえるのです。