株式投資などで利益を獲得した場合には、原則として納税額を確定させるために確定申告の義務が生じますが、損失については確定申告を行う義務はありません。しかし、損失であっても確定申告を行った方が良いケースがあります。
確定申告の意義
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間における所得を確定して納税額を申告するための手続きの事です。
納税の義務が発生する所得だけでなく、株式投資などで発生した損失も申告する事で、当該損失を反映した確定申告を行う事ができます。したがって損失について確定申告を行う義務が無かったとしても、確定申告した方が良いケースが多々あります。
株式投資における損失
株式の取引において、株式を取得した金額よりも低い金額で譲渡するとその差額は譲渡損となります。この損失には確定申告の義務はありませんが、確定申告をする事で株式投資による配当金や譲渡益と相殺する事ができます。また、相殺する利益が無い場合または相殺しきれない場合には、損失額を三年間繰り越す事が認められています。この間に発生した利益を損失と相殺する事が出来るため、納める税金が少なくなるのです。
この様に株式投資で発生した損失を確定申告するメリットはありますが、分離課税といって株式投資や投資信託などの利益と損失に限られるため、その効果はどうしても限定的になります。
マンション経営における損失の特徴
株式などと異なりマンション経営によって発生した損失は総合課税といって、他の所得と損益通算する事が認められているため確定申告によって大きなメリットが受けられます。
給与所得のあるサラリーマンの場合、マンション経営による損失額を給与所得から控除することが出来るため、年末調整によって既に納めた所得税から、損失額に対応する所得税分の還付を受けられるのです。
確定申告のための準備が必要
株式投資などでは、基本的に利益と損失を把握すれば良いのでシンプルですが、マンション経営による不動産所得を確定申告するためには、家賃収入と家賃収入を獲得するために要した費用を記録し、税法にしたがって計算し、書類を作成する必要があります。慣れないうちは減価償却の方法、費用化できる支出の範囲などで戸惑う事も多いかもしれませんが、最近はインターネットの普及や確定申告ソフトの進歩により容易になってきていますので、税理士に委託せずにマンション経営を行う方も増えてきています。
マンション経営には節税のメリット以外にも年金効果、生命保険効果、相続税の減税効果もありますので、興味を持ったら積極的に検討してみて損は無いでしょう。