小規模宅地等の特例とは、自宅・店舗・事務所などの宅地を相続した場合、一定要件を満たせば相続税評価額を減額させることができる制度のことです。
例えば亡くなった方が住んでいた家の土地(特定居住用宅地等)の場合、330㎡までなら評価額は80%減額させることが可能です。
ただ、減額させるためには要件があり、まずその土地を相続する方が亡くなった方の配偶者や、同居の親族、持ち家を持たない親族でなければなりません。
ここで気になるのが、どこまでを「同居」とみなすのかという部分です。そこで、小規模宅地等の特例における同居の要件についてご説明します。
同居かどうか判断する基準は?
もし宅地を相続する方が同居の親族である場合、亡くなる前から相続税申告期限まで居住し続けていることや、相続税申告期限まで保有していることも必要です。
これらの要件に加え、同居と認められるのか迷うケースもあるようですが、
・日常生活の状況
・その家に住み始めた目的
・家の構造・設備の状況
・他に生活拠点となる家があるか
などで判断することになります。
例えば、親子が同じ家で寝食を共にしていたのなら同居といえますが、平日は別居、週末は子が親の実家に帰るという生活スタイルの場合、親子の生活の拠点が別々とみなされ同居しているとはいえないでしょう。
ただ、親と同居していた子が家族を残し単身赴任しているケースでは、赴任が終わると家に戻ることが見込まれるため、生活拠点は同じと考えられることから同居と認められます。
二世帯住宅の場合の扱いは?
親子が二世帯住宅に住んでいる場合は、以前は世帯ごとの区画が完全に分かれていると同居要件を満たさないとされることもありました。
ただ現在では、二世帯住宅の構造については問われず、どのように登記されているかで判断されます。
一棟の建物に対する割合を定め、複数人で同じ建物を共有する共有登記が行われている場合は同居とみなされますが、建物を複数に区切って登記を行う区分所有登記がなされている場合は同居としてみなされません。
子が住民票だけを親元に移した場合は?
形式だけ同居していたことにするため、子が親の実家に住民票だけを移した場合はどうでしょう。
この場合、表向きは同居している形になりますが、実情として寝食を共にしていないため、同居とは認められませんので注意してください。
このように相続税対策で小規模宅地等の特例を適用するためには、いろいろな要件が定められているため、うまく活用して無駄な支出を抑える事も大切です。