【NO UNYOU,NO LIFE】

「人生100年時代」と言われる現代において、将来への備えは誰もが考えるべき重要なテーマです。しかし、日本の家計金融資産の構成を見ると、その多くが現金・預金として眠っており、積極的に運用されているとは言えない現状があります。今回は、日本と世界の資産保有状況を最新のデータから比較し、運用することの重要性、今後の予測についてご紹介させて頂きます。

【日本の依然として現金・預金偏重の現状】

日本銀行の調査によると、2024年第4四半期末の日本の家計金融資産は約2,200兆円に達しています。

その内訳を見ると、依然として50%以上が現金・預金で占められており、株式や投資信託などのリスク性資産の割合は欧米諸国と比較して非常に低い水準にあります。

(出典:日本銀行「資金循環統計(2024年第4四半期)」より)

【世界の家計金融資産:力強い回復と成長】

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が2024年7月に発表した「グローバル・ウェルス・レポート2024」によると、2023年末の世界の家計金融資産は前年比7%増の275兆ドルに達しました。

これは、2022年の金融市場の低迷からの力強い回復を示しています。

地域別に見ると、北米が11.3%増と最も大きく成長し、次いでヨーロッパが6.3%増、アジア太平洋地域(日本を除く)が5.1%増となっています。

資産構成については、国や地域によって差がありますが、一般的に株式や投資信託の保有割合が高い傾向が見られます。UBSが2024年3月に発表した「グローバル・ウェルス・レポート2024」によると、富裕層を中心に株式が主要な資産として保有されています。

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(出典:日本銀行「国際比較統計(2023年末)」およびBCG「グローバル・ウェルス・レポート2024」、UBS「グローバル・ウェルス・レポート2024」などを参考に弊社にて推定)

【なぜ日本は現金・預金が多いのか?】

日本の家計金融資産が現金・預金に偏っている背景には、いくつかの要因が考えられます。

安定志向の国民性: リスクを避け、安定を重視する国民性が、元本保証のある預貯金を好む一因と考えられます。

金融教育の遅れ: 投資に関する知識や情報に触れる機会が少ないことが、積極的な資産運用へのハードルとなっている可能性があります。

過去の経済・金融危機の影響: バブル崩壊やリーマンショックなどの経験が、リスク資産への慎重な姿勢に繋がっている可能性があります。

【なぜ世界ではそれ以外の資産が多いのか?】

一方、海外で株式や投資信託などのリスク性資産の保有割合が高い背景には、以下のような要因が考えられます。

インフレ意識と資産成長への意欲: インフレに対する意識が高く、資産価値の維持・成長への意欲が、積極的な運用を促しています。

投資文化の浸透と金融教育の普及: 長期的な資産形成手段としての投資が広く認知され、金融教育も充実している国が多いです。

年金制度と自助努力の奨励: 公的年金に加えて私的年金の役割が大きく、自助努力による資産形成の必要性が高いことが、投資への意識を高めています。

経済成長への期待と企業価値の向上: 経済成長への期待感や、株主還元を重視する企業の姿勢などが、投資を後押ししています。

【今後の予測:日本と世界で生まれる差】

今後、日本と世界の間で資産形成においてどのような差が生まれる可能性があるでしょうか。

日本の場合・・・

インフレの進行と現預金の実質価値低下: 物価上昇が進む中で、現預金の購買力が低下(現金の目減り)する可能性があります。

低金利の継続と預貯金による資産増加の限界: 預貯金による資産形成は依然として厳しい状況が続くと予想されます。

高齢化と年金不安による自助努力の必要性増大:高齢化が進む中で、公的年金制度への不安から、自助努力による資産形成の重要性がますます高まります。しかし、運用への意識が低いままだと、老後資金の準備に大きな差が生じる可能性があります。

金融教育の遅れによる格差: 金融知識を持つ層と持たない層の間で、資産形成の差が拡大し、貧富の格差につながる恐れがあります。

世界の場合・・・

インフレに対応した資産成長: 株式や不動産などの運用によって、インフレ率を上回る資産成長を期待できる可能性があります。

複利効果による資産の拡大: 長期的な視点での運用により、複利効果がより大きく働き、資産の増加を加速させる可能性があります。

多様な投資機会へのアクセス: グローバルな投資環境を活用することで、より多様な資産に分散投資を行い、リスクを抑えながらリターンを追求できる可能性があります。

テクノロジーを活用した投資の普及: フィンテックの進化により、より手軽に、より低コストで投資を行う環境が整い、幅広い層が資産運用に参加しやすくなるでしょう。

このような予測を踏まえると、今後、日本と世界の間で、個人の金融資産の差はさらに拡大していく可能性があります。日本においても、従来の「貯蓄」中心の考え方から、「運用」を取り入れた資産形成へと意識を変えていくことが重要になります。

【世界における不動産投資の現状と日本の不動産の魅力】

世界において、不動産運用も積極的な資産運用の重要な選択肢の一つです。世界の投資家は、インフレ対策や安定した収益源として不動産の潜在力を高く評価しています。近年、日本の不動産、特に都市部の物件は、世界の投資家から見ても魅力的な投資先として注目を集めています。その背景には、世界主要都市と比較して投資しやすい価格帯、比較的高い賃貸利回り、政治的および社会的な安定性、交通網の充実、そして円安傾向による割安感などが挙げられます。世界の積極的な投資の目は、日本の不動産市場の隠された魅力を発見しているのです。

日本の家計金融資産は世界と比較して異常なほど預金に偏っており、世界の積極的な資産運用とは大きな隔たりがあります。世界がインフレに対応し、豊かな未来を築くために積極的な運用を標準としている今、日本も現在の「貯蓄」から「運用」へと、変化していかなければならないのでしょうか。

世界が注目する日本の不動産運用の魅力も視野に入れ、積極的な資産運用を理解し、世界に遅れない資産形成への第一歩を踏み出しましょう。